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第6回日本・ミャンマーソサエティ会合のお知らせ
日時:11月19日(土)14:30〜17:00
場所:明明治学院大学白金キャンパス2号館2302教室
   ※いつもの本館とは異なりますので、下記キャンパスガイドでチェックされてお越しください。また、当日は特別入試のため、本館および3号館には立ち入らないようお願いいたします。
アクセス: http://www.meijigakuin.ac.jp/access/shirokane.pdf?20110311
Campus ガイド: http://www.meijigakuin.ac.jp/campus/shirokane/

講演:津守 滋氏「ミャンマーの最新情勢と日本の対応」
1、民政移管まで
(1)在勤時代(2000年5月〜2002年6月)
   ミャンマー軍政の三頭政治と国民和解に向けての小さな窓口(政府と軟禁下のASSK との対話、ASSKの釈放(2002年5月))
(2)ASSK一行に対する襲撃事件(Depaing事件、2003年5月)
   キン・ニユン首相の解任(2004年10月)以降タン・シュエSPDC議長の独裁的支 配の一貫した強化、民主化への7項目のロードマップの実行
(3)新憲法と議会選挙(2010年11月)    軍の支配の実質的継続の要素と、権力分立による新たな展開

2.民政移管後7ヶ月間の動き
  SPDCの解散と民政移管(2011年3月30日)
(1)改革へ向けての前向きの動き(経済面の動きを除く)
@テイン・セイン大統領の就任演説(包摂的、透明、清潔な政治;憲法改正の可能性に言及;国軍が政府の統制下にあることを印象付ける発言;教育、保健・医療の重要性とNGOの役割への言及;市民の基本的権利を「最重要視する」との発言)
AASSKとの直接対話の開始、ASSKの行動の自由
B情報管理の緩和:国会の取材許可、BBC、VOA等の解禁;検閲の廃止?
C政治犯釈放の開始
(2)未知数の問題
@政治犯の全員釈放は行われるか?
AASSK(NLD)との関係の着地点は(90年選挙結果に対する手当て);政党登録法の改正?
B議会は本来の機能を果たすか?
C人権状況の改善はどの程度まで進むか?
D少数民族との安定的関係を構築できるか?(自治権付与と国境警備軍への編入問題)
(3)経済面での前向きの動き
    @ 多重為替制度の改革について、IMFの助言をも得て本格的に取り組む方針
A 輸出税の税率の引き下げ
B CMPに委託手数料、ドル払い給与に対する所得税の引き下げ
C 外国人による土地所有、外貨交換を認めるための外国人投資法の改正の予定
D 財政赤字(2011〜2012年FYで27億ドル)の初の公表
E 特別経済特区法の制定(2011年1月(前政権))
(4)改革を必要とするいくつかの諸点
@国家予算のいびつな配分;軍事予算は総額の25%+国軍が自由に使える資金(国会のコントロール外)が留保されている。(教育と医療・保健分野は2%)。
(この予算案は国会召集前にSPDCが決定、国会の実質的審議を経ていない) A 農業振興と農業労働者の状況改善のための土地改革が必要(小作人制度の復 活など)
B 社会資本整備のための適切なロードマップが必要
C 国営企業の経済的に意味ある適正な払い下げ(crony経済の廃止)
D 徴税機能の改善; テインセイン大統領の「クリーンな政治」の実施
E 貿易・投資に絡む問題(輸出金・前払い送金、輸入支払いデポジット等)

3.日本の対応〔これまでの実績と方針〕
 (1)民政移管までの日本の対応
@民主化の進展および人権状況の改善に向けたミャンマー政府、国民の努力を鼓舞 民主化の進展と人権状況の改善も見ながら、人道支援を中心に、ケース・バイ・ ケースで経済協力を実施
ADepaing事件(2003年5月)および僧侶等のデモに対する弾圧(2007年9月)を契 機に、協力を絞り込む
B日緬共同の「経済構造調整」プロジェクトを実施(2003年にキン・ニュン首相に 提出)
(2)民政移管後
     ミャンマー政府の前向きな動きを鼓舞
@2011年 7月、四分野での協力をミャンマー側に提案: (@)人的交流(若手政治家20名の招聘)、(A)経済協力(「民主化および人権状況の改善を見守りつつ、民衆に直接裨益する基礎生活分野の案件を中心に、ケース・バイ・ケースで検討の上実施する」)、(B)経済関係(経済ミッションの派遣、貿易投資ワークショップの開催)、(C)文化交流(文化遺産の保護、宗教交流)
A 10月来日したワナ・マウン・ルイン外相に対し、玄葉外相より、バルーチャン 第二水力発電所補修および「人材開発センター(日本センター)」案件の実施に向けた調査団派遣を約束

4.今後の日本の対応〔提言〕
 (1)日本の対緬外交姿勢としては、ミャンマーの「民主主義の進展と人権状況の改善」、 「貧困削減」、「経済発展」のための協力・支援を基本方針とし、同国の戦略的重要 性を視野に入れて、同国の安定と発展が東アジアの安定と発展にとって重要である ことを認識して、日緬関係の歴史的アセットを想起しつつ、大胆な政策を展開する。
 (2)そのため、新生ミャンマーの「国造り」に対する、「知的協力・支援」を重視する。 具体的には、@マクロ経済、ミクロ経済両面にわたる構造調整・改革、A議会制度 の円滑な運用、B法制度の整備、に協力する。
(3)ミャンマー国民の貧困削減、教育の向上、医療・保健環境の整備に協力する。 そのため、ODAを大幅に増大する(無償資金協力、技術協力に加え、必要に応じ 円借款も供与)。    

【津守 滋氏のプロフィール】
桐蔭横浜大学法学部客員教授、立命館アジア太平洋大学客員教授 (元駐ミャンマー日本大使)

   京都大学法学部出身、外務省勤務、在外勤務20 年〔うち10年はドイツ勤務〕、 欧亜局審議官、後藤田正晴官房長官秘書官、駐クウェート大使、駐ミャンマー大使。
   大阪大学大学院国際公共政策研究科・同法学部教授、東洋英和女学院大学国際社会学部教授。現在、桐蔭横浜大学法学部・立命館アジア太平洋大学客員教授。

<著書>
『バルカンを行く 民族問題を考える』〔サイマル出版会〕、
『国と国民を考え続けた官房長官 後藤田正晴の遺訓』〔ランダムハウス講談社〕、
編著書『地球が舞台 国際NGO最前線からの活動報告』(勁草書房)、
訳書(独)『ロケット開発研究所 ドイツ人科学者のソ連抑留記録』〔サイマル出版会〕、
監訳書〔英〕『モスクワ攻防戦 20世紀を決した史上最大の戦闘』(作品社)、
共訳書〔英〕『ジハード戦士 真実の顔』(作品社)


※人数確認のため、出席予定の場合は「11月12日」までに下記までご連絡頂きたくお願い申し上げます。
会場手配の関係で事前に人数把握をしたいので、できる限り出欠のお知らせをお願い申し上げます。
日本の方々: hikoe07@ybb.ne.jp  江橋正彦
ミャンマーの方々:httlwin1999@gmail.com Htay Lwin
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